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アクリルパーテーションは効果的に飛沫感染を予防するため、受付や窓口、飲食店などさまざまな場所で活用されています。
しかし、掃除や手入れの方法を正しく理解していないと十分に効果を発揮できないだけでなく、アクリルパーテーションを傷めてしまう場合があることをご存知でしょうか。
今回はアクリルパーテーションの正しい掃除と手入れについて、詳しく解説していきます。
アクリルパーテーションとは?
アクリルパーテーションはアクリル製の透明なパネルで空間を仕切る衝立(ついたて)です。
もともと受付窓口などで使用されていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、飛沫感染対策として対面になる場所に設置されるケースが増えました。
商品の種類が豊富で、簡単な足をつけてすぐに使える簡易組み立て式のものから、ステンレス製の足がついた安定性が高い丈夫なものまで、用途や設置場所などに合わせ、柔軟に選択できます。
アクリルパーテーションのお手入れ方法
アクリルパーテーションの手入れには、アルコールは使用できません。後ほど詳しく説明しますが、アクリルはアルコール除菌剤に含まれるメタノールでひび割れや白い曇りができてしまいます。
アクリルパーテーションを手入れする正しい手順としては、
水洗い→中性洗剤を使った拭き取り→帯電防止剤の塗布
になります。それではひとつずつの手順について見ていきましょう。
1.水洗いで汚れやホコリをキレイにする
まずアクリルパーテーションを水洗いして、表面に付着している汚れやホコリを丁寧に洗い流します。
目立つ汚れが残ったまま拭き取りを始めると、アクリルの表面に細かな傷ができてしまうので、流水でしっかりとゴミを流しておきましょう。
大きくて水洗いが難しいアクリルパーテーションの場合は、水を入れたスプレーでたっぷりと水を吹きかけ、柔らかい布やキッチンペーパーなどでこすらずにそっと撫でながら拭き取ります。
2.中性洗剤で拭き取る
界面活性剤を含む中性洗剤を柔らかい布やキッチンペーパーに含ませ、表面に残っている汚れと雑菌・ウイルスを拭き取ります。
家具用洗剤は製品のラベルに書かれている使用方法をよく確認してください。台所用洗剤の場合は、500mlの水に対して5gの台所用洗剤を入れてよく混ぜ、溶液を作ります。
汚れやウイルスを広げないよう、一方向へしっかりと力を入れて拭き取ってください。
洗剤で拭いて5分程度経過したら、水できれいに拭き取ります。
消毒に有効な成分を含んでいる製品についてはNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)のリストを参照してください。
3.帯電防止剤でホコリの付着を防ぐ
アクリルは静電気が発生しやすい素材です。そこで、消毒したあとは帯電防止剤を塗布することで静電気を抑え、ホコリやウイルスの付着を防ぎます。
帯電防止剤は静電気の発生を軽減する薬剤で、用途に合わせてさまざまな素材があります。飲食店や受付など、人に触れることが多い場所では水溶性や中性の帯電防止剤がおすすめです。
使用方法は製品によって異なるため、ラベルの注意をよく読んで使用してください。
アクリルに使用できないもの
アクリルは透明で丈夫で軽い便利な素材ですが、高温やアルコール、除光液などの薬剤に弱い性質があります。
飲食店など人の出入りが激しい場所では、テーブルを拭くのと一緒にアルコール除菌スプレーを掛けて拭きたくなりますが、表面が曇ったりひび割れの原因になってしまうのです。
アクリルの扱いについて注意するべき点を確認していきましょう。
高温に注意
アクリルは材質が熱に弱いため、高温で変形してしまいます。概ね65度~70度以上の熱に連続して晒されると変形しやすくなるので、厚生労働省が熱水消毒の目安として推奨する「80度以上の熱水で10分間」の消毒は行なえません。
また、消毒の目的でなくても、熱源の近くに置くと変形したり劣化が進んでしまいます。飲食店や高温になる器具がある作業場にパーテーションを設置する時は、熱源との距離に注意してください。